都道府県へ運営移管、厚労省が国保改革案を提示
去る10月30日付けの読売新聞によりますと、『厚生労働省は29日、社会保障審議会医療保険部会で、財政状況が厳しい国民健康保険(国保)の改革案を示した。運営主体を現在の市町村から都道府県に移し、広域で運営することで財政基盤を強化する。市町村は保険料を集める業務に特化する内容だ。同部会では目立った異論は出なかった。同省は来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。自営業者ら約3500万人が加入する公的医療保険の国保は、年間約3500億円の慢性的な赤字状態で、改革が求められていた。』と報じています。
さて、ここで中野区の国民健康保険特別会計を例に国民健康保険制度が危機に瀕している現状を紹介します。平成25年度決算ベースの数字ですが、保険料として徴収しなければならない保険料金額はおよそ120億円、しかし、納められた保険料金額はおよそ90億円余。未納額はおよそ30億円にもなります。この未納分の負担はどうするの?ということになりますが、未納者に督促はするものの、数字の上では中野区一般会計、いわゆる税金から補填されることになります。その金額およそ30億円。割合にしますと75%が保険料。なんと25%は税金で賄っている。ということになります。『国民健康保険特別会計』は会計上(制度上)すでに破綻を来していると言わざるを得ません。
そもそも、昭和35年当時、わが国の人口構成がピラミッド型になっていた当時に出来た制度が国民健康保険制度と年金制度。少子高齢社会に突入したわが国の人口構成は逆ピラミッドになっているのは皆様ご承知の事実です。保険も年金も破綻?ということは制度の見直しに着手しなければ国民健康保険制度の健全な運営が出来なくなるのは当然です。そこで、浮上して来たのが冒頭紹介した新聞記事の、「保険者を都道府県に移行して基礎自治体は徴収業務に特化する」といった案なんですが。まだまだ議論を要します。税と社会保障の一体改革とは、まず国民がその義務を果たすことが実現することを念頭に置かなければなりません。