右肩上がりの時代の終焉、そして、人口減少・少子高齢化時代への突入により、日本全国でまちの活力が失われつつあることはご承知の通りです。一極集中といわれる東京都内においても、少子高齢化の影響は避けられず、活力の大幅な低下が懸念されています。この状況を受け、あらゆる自治体の課題として「活性化」「賑わいの創出」などが掲げられ、様々な取り組みが行われているところであります。中野区も例外ではありません。
ところが、活性化が「他所から一人でも多くの人を呼び込む」ことであると認識されたことから、結果的に自治体間で少ないパイを奪い合い、お互いに足を引っ張り合うだけの結果に終わってしまい、日本全体で考えた時、極めて不幸な状況となっているのも事実です。そこで今回は嘗て持て囃されたテーマパークといった観点から考えてみることにします。
以前、岡山県や倉敷市などが出資した第三セクターによって運営管理されている「倉敷チボリ公園」の閉園が決定した、との報道がありました。倉敷チボリ公園は、約12ヘクタールの工場跡地に1997(平成7)年7月に開園した大規模なテーマパークです。開園直後のお盆期間には、東京ディズニーランドに次いで多い入場者数を記録しましたが、その後急激に入園者数が減少し、2006(平成18)年には、初年度の3分の1を下回る数となってしまったのです。地域の活性化の名の下に、岡山県はこれまで300億円以上の資金をつぎ込んではみたものの、見るべき成果もないままに、累積損失がかさみ、開園から約10年間でこの壮大な事業は終焉を迎ることになります。
しかし、これは決して珍しい事例ではなく、同様の事例は全国いたるところに存在します。それらは皆、「他所から人を呼び込む」ことを第一の目的とし、この第一の目的の達成によって、安定的な雇用の創出、地域産業の活性化などが企図されたはずであるのです。しかし、具体的な成果が出る前に行き詰ってしまったとうことはどのような理由によるものなのでしょうか。
以下次回に続く
注釈1:倉敷チボリ公園(ウィキぺディアより引用)